ファッション情報

◆コットン・ファッション情報◆

2017/18 秋冬コットン素材傾向
PREMIÈRE VISION PLURIEL 及び MILANO UNICA より

 パリ:ニコル・トットローより
 
<カラー>

SHADE OF DARK
FOLK HERITAGE
WINTER EXCENTRICS



パリ:ニコル・トットローより
<ファブリック>
  MOUNTAIN FOLK

 DECO COCOTTE

RURAL CHIC

INSIDE OUTSIDE 

 LONDON CALLING


 2017/18年秋冬向けテキスタイルを発表する見本市、プルミエールヴィジョン(PV)パリとミラノ・ウニカ(MU)が、この9月初旬から中旬、相次いで開催された。両見本市とも不安定な市場環境の中、商談は活況だった。
 PVパリはそのリーダーシップを一層強化。出展企業は1,898 社で、56,475 名の来場者があり、今年2 月展比で、出展社数(+10%)、来場者数(+2.7%)ともに増加。2015 年9 月展と比較しても、PVパリは、安定した出展社数(-1.3%)と来場者数の微減(-8.8%)にとどまるという。
 MUは今回から会場がフィエラミラノ・ローに変わり、従来に比べ1.5倍広い、ワンフロア―の快適な環境だった。出展企業は382社で、内79社がヨーロッパ諸国からの参加。これに日本パビリオンの39社と韓国パビリオンの21社が加わり、出展社総計442社。来場者は会社数で昨年並みの約6,000社。また来年の秋冬物展について会期が9月から7月に変更されることになった。2か月という大幅な前倒しだが、出展社からは好意的に受け止められている。PVパリとの差別化が進みそうである。


<全 般 傾 向>

創造的なエネルギーあふれるシーズン
 2017/18秋冬は、創造的なエネルギーにあふれるシーズンになりそうだ。出展各社のコレクションにはダイナミックにうねる現代の鼓動が感じとれる。
 PVファブリックではこれを二つの対照的なアプローチで提案している。一つは静穏さへの方向、もう一つは自由奔放な活力への流れである。すなわち平穏を希求しラインオフにして自分を守る姿勢と、規範を少々無視しても陽気にお祭り気分を楽しむ姿勢で、両者は補完的に折り重なり、ますます表情豊かに力強くなるという。
 MUも、二人の個性的なアーティストをセットし、視点の異なる三つのストーリーでトレンドエリアを構成した。一つはアルベルト・ブッリとレンゾ・ピアノで、「物質性」に注目。ブッリ風の壊れや破れ、焼いた焦げ目などの表現に、ピアノ風の現代建築美を組み合わせた。二つ目はルーチョ・フォンターナと葛飾北斎で、視線の先にあるのは「フォルム」。フォンターナのナイフで切れ目を入れた凹凸のある「キャンバスレリーフ」と、北斎の「神奈川沖浪裏」のイメージを重ね、モノトーン中心に展開。三つ目は60〜70年代に気品溢れるスタイルを生み出したデザイナー、ウォルター・アルビーニと、建築家ピエロ・ポータルッピーのデザインに着想したテーマで、洗練されたエレガントな「スタイル」をクローズアップした。
 今季PV、MUとも、焦点は独創性である。テキスタイルは違和感のあるものをぶつけ合わせ、反発し合うような動きを感じさせるものが多くなっている。シックですっきりとしたものが求められていても、フラットなものはあり得ない。心に刺さる刺激が必要なのである。
穏やかなコットンも、ときに楽しく自己主張する、そんな創造の息吹に満ちた季節が来ている。

軽やかな視覚効果
 今シーズン、注目されたのが軽やか感。重苦しい市場環境を癒すかのように、色にも素材にも軽快な視覚効果のあるテキスタイルが広がっている。 
 色は黄色がフォーカスされた。PVパリでは会場の随所に多用され、暗いグレームードを明るく照らすアクセントカラーとなった。PVモード担当のサビーヌ・ルシャトリエさんによると、この黄色は「光」の色であり、エレクトリック・イエローやシンセティック・イエローなど、デジタル時代の現代に似合うイエロー、また生命に生き生きとした活力を吹き込む色であるという。
 PVカラーは、コンセプトに則った二元的なレンジ、つまり静かな空気感を漂わせるニュートラルカラーの上に、陽気な遊び心たっぷりのマルチカラーを乗せた配列で提案された。浮遊感とともに楽しい気分を打ち出したい、そんな思いが込められたパレットである。今季人気のダークも、これまで以上にカラフル化し、多彩な美しい色がちりばめられ、そこに光りの要素がプラスされて、より奥行きのある表現へ動いている。
 プリントやジャカードなどの柄物は、リゾート感覚ではと思うようなものが見られ、インパクトのある大柄だったり、ファンシーなひねりが加えられていたり、組み合わせの妙が見られたりもする。軽妙なカット糸やフリンジ、レース、刺繍への引き合いも多く、甘さのないロマンティシズムへの動きが継続している。
 一方素材では、あらゆるものがボーダーレス化する昨今の状況を反映するように、秋冬なのに春夏のような質感が増えている。薄く軽い、しなやかな風合いが多くなり、ときに透け感をともなってみられたりもする。毛足や薄起毛、やわらかい感触も台頭し、ドレープ性や流動感が復活していることにも目を向けたい。
 春夏に強いコットンもこの流れに乗って、来秋冬も100%で、あるいは様々な素材とのミックスで拡大を見せている。

暖かい快適な着心地 
 今シーズン、バイヤーが何よりも追求したのは暖かい快適な着心地を保証する素材。つまりふんわりとやさしく身体を包んで、最上の優雅な気持ちにしてくれるようなテキスタイルである。中でももっとも重要とされる要素は軽量であることで、しっかりと厚地であっても実は軽いことが差別化への鍵となっている。しかも決して単調ではない、洗練されたファンシーな表面感が目立つのも特徴だ。
 さらに見た目ではわからない高機能テクノロジーの浸透にも注意を払う必要がある。天然/合繊複合がますます勢いを増しており、ストレッチはメンズにも広がっている。布帛感覚のジャージーやニットの増加も著しく、スーツ地として堅苦しくなくきっちり着用できることをフォルムで訴求。売上を伸ばしている。

エコ素材への関心
 
超ファンシーで装飾的なドレス向け素材にも、サスティナビリティの問題に目が向けられ始めている。バイヤーはますます生産・流通過程でのトレーサビリティ(追跡可能性)を確認するようになり、社会的責任に敏感になっている。
 とくにリサイクル繊維から作られたテキスタイルは、これまでアクティブスポーツやジーンズウェアが中心だったが、今やあらゆる分野で需要を伸ばしている。エコ素材へのレディス市場での関心の高まりも指摘しておこう。


<コットン素材のポイント>

コンパクトでしなやか
 タイムレスなエレガント感覚への動きが強まり、緻密でしなやかなコンパクト素材が再登場。厚みはあっても軽やかで、重みがあってもやわらかく、起伏があっても軽量。高級綿による超強撚糸使いも復活。流動感のあるドレープの風合い、弾力性のあるクレープのスーツ地や、なめらかな動きのあるニット、起毛加工のものから、シルキーなツイルやサテン、クレープ、またウルトラフェミニンな細ゲージニットなどにスポットが当てられ、薄地のボンディングへの関心も。肌になじむクリーミーな感触のものもみられる。ストレッチもマスト。

ベルベットの波
 クラシックな気分が広がる今シーズン、艶やかな光沢のベルベットやパン・ベルベット、ニットベロアの波が押し寄せている。この流れはコーデュロイに波及し、ファンシーなコードやフィギュア・カット、シェニールなど、バリエーションが拡大。フロッキー加工も多く、メッシュやレース、刺繍などに施されて、ソフトでしなやかな高級感を印象づけている。シャツ向けの細いピンコードへの要求も高まっている。

ふわりと温かい心地よさ  
 冬に不可欠なのが、丸みのある構築的なボリュームを演出するコートやジャケット向け素材。求められたのは着心地のよい、やわらかくてふわりと軽い、温かい質感のもの。とくに空気をはらむ、やさしいしなやかな感触の長い毛羽のモヘア調や起毛、パイル、ふくらむニットなど。外見より軽いのもポイントで、今シーズンはますます軽くなり、空気をまとっているかのようなものも登場。

影の中のきらめき 
 目立つのは光と影を演出する視覚効果。とくに影の中のきらめきに注目。ラメ糸を織り込んだスーツ地やゴールドの裏打ち、起毛加工やツィードの裏から射してくるわずかな光、暗がりの中できらめきを放つジャカード、乱れた画面に見られる接触不良のチラツキのように点滅する光など。またシルキーな光沢やラメ、宝石のようなシークィン、反射するミラー効果、幻想的な虹色のきらめきも。メタリックも目に付く。メタルにさらに光沢をつけた素材も好評という。コパーやブロンズも目新しく映る。さらにラッカーやラミネート加工も継続するなど、今シーズンは光の効果満載。

完璧以上に完璧
 シックなテーラードの基本に返る動きや、清潔感のあるリッチなカジュアルへの流れが強まり、非の打ちどころのない品質が求められている。目指すのは完璧以上に完璧な美意識で、目が向けられたのはきちんと目の揃った規則性。とはいえ評価されたのは単なるプレーンではない構造的組織のある素材。精密に刻まれたダイアゴナルやヘリンボン、エンド・オン・エンド、マイクロパターンなど織りが描く柄。かすんだシネやシェットランド調も粗っぽさは排除されている。

表情豊かな立体感
 今シーズンは総じてシンプルとはいえ、織りや編みの組織には表情豊かな立体感がつけられているものが多い。ジャカードやピケ、つくり込んだドビー、多層組織で凹凸を刻んだ生地、トーン・オン・トーンの起伏やふくれ、洗練されたキルティング風のものなど。また立体感のある細かいプリーツ加工やエンボス加工も。さらに3D刺繍も支持され、オーバーステッチやアップリケでボリュームを加える。ここでも軽量が重要。

糸のファンシー性 
 あらゆる分野で素材に付加価値をつけるのは糸。中でも人気はブークレ糸使いのふんわり柔らかな素材感。細めのブークレット糸を差し込んだストライプやチェックも多い。またカット糸も目立ち、フリンジのような糸をあしらったカットジャカードが増えている。さらにむら染めやかすり染め糸使いなど、カラーミックスも広がっている。
 ラスティック調は影を潜め、表面を少し乱すネップでイレギュラー感を出したものなど。洗練されたヴィンテージ感覚が強まっている。

カジュアルなトップス
 全体に控えめな感じで温かい、心地よい素材が中心。シャツは細かい起毛加工でどこかウール風だったり、杢糸や撚り糸効果、紋織、先染め意匠などで複雑な無地風だったり、また間隔が開いたストライプやチェックも目に付く。ニットは、ボリュームがあっても重くない。たっぷりとした厚みと極上の手触りのスウェット、裏起毛、スポンジのようなふわふわ感、キルティングのような感覚のものも。また伸縮性がほとんどないコンパクトな編み地や、逆に伸縮性に優れたセカンドスキンタイプのもの、さらにシースルーで毛羽のある糸使いのものも。

オフビートなグラフィック
 クラシックをオフビート(羽目を外したよう)なグラフィック調に変容させた素材が目立つのも今シーズンの特徴。巨大な千鳥格子やグレンチェック、エレキなタータンチェック、オーセンティックとは一線を画したヘリンボンやストライプ。すべてジャカードやエンブロイダリーでの表現で、誇張された奇抜なデザインもみられる。コントラストを効かせたオプティカルなチェックや漫画のような大胆なバージョンなども。またあえて矛盾したもの同士を組み合わせたダブルフェースやボンディングも目に付き、バイヤーの興味を引いていた。

強烈なインパクトのプリント
 柄の巨大化はプリントも同様で、強烈なインパクトのあるグラフィカルなデザインがクローズアップされた。中にはインテリアテキスタイル並みのスケールを持つものも登場している。モチーフは植物を着想源とするものが多く、バイヤーのアンケートでは、花以上に葉の模様が人気という。この傾向はレースの意匠にも見られる。とくにカムフラージュの新バージョンで、あまりミリタリーらしくないものにも目が向けられている。またジオメトリック、アフリカン、コラージュやアクションペインティング、ポップアート感覚、グラデーション、ボーダー、さらにリゾート地の風景なども。色使いではダークな地色にカラフルな色や、メタリックを散らしたようなものが増えている。 



バックナンバーはこちら