トピックス

◆コットン・トピックス◆

<2019 WINTER>


■近藤紡績所
新開発リラクシング素材発表

 先般、東京国際フォーラムで開催されたJFW-JCジャパン・クリエーションに、近藤紡績所 (KONDOBO)が出展した。同社は紡績事業にとどまらず、アパレル事業にも取組んでいる創業100有余年の老舗紡績メーカーである。「紡績だからこそ出来ることとは何なのか?」に踏み込み、より良い生活のための素材を提供することを目指して、糸から製品まですべてオリジナルの一貫生産体制を確立している。基本はリラクシングウェアで、一つひとつ丁寧に仕立てた日本製をアピールし、年々成果を上げているという。
 今回は昨年に続いて2回目の参加で、展示面積を3倍に拡大しての出展だった。ブースでは新開発のリラクシング素材を取り上げ発表した。
 その柱は、次の3つ。1つは、新企画の「アイ・ケー・アエロ (ikæro)」。「空気をまとう」のコピーのように空気を含む綿100%の特殊紡績糸で、現在特許出願中という。目付けが1割ほど少ないので軽やかでやわらかく、保温率も従来の2倍近くあって温かい、なごやかな風合いが特徴である。ベビーウェアやパジャマを中心に、“オコジョの冬衣”など同社工場のある大町市付近の自然に因んだ商品名を付けて製品化している。
 2つ目は、「接結を極める」。これは接結天竺で、最高のリラクシング素材を求めて開発したというガーゼを思わせるダブルニットである。素材はプレミアムな厳選素材、例えば最高級のアメリカンシーアイランドコットンにシルクを混綿した糸使いなどが用いられている。60番手単糸をハイゲージで編み、タンブル乾燥後、製品洗いしていることもあり、寸法安定性が増し、シワはあっても上品な表情を見せる。さらに感性評価を、信州大学との協働により導き出し、“つるふわ” とか“さらとろ”といったオノマトペで訴求していたのも印象的だった。
 3つ目は、自社ブランドの「くるみ (Kurumi)」。これはウールを芯にして綿で包み込んだ2層構造糸により、綿の優しさとウールの温かさを良いとこ取りした、大人のための「究極のリラックス」ウェアである。インナーからちょっとした外出着のツーマイルウェアまで、様々なアイテムで展開されている。
 さらにもう一つ、目に飛び込んできたのが、同社の子会社、KSプランニングによるアメリカンカジュアルブランド「ランドリー (LAUNDRY)」の展示。創立20周年を迎えて、ブランド名にサンキューの意味を込めて“039”を冠した新ラインを披露した。唯一無二の“BE ORIGINAL”をコンセプトに、ヴィンテージウェアを現代的に再構築している。素材はアメリカンシーアイランドコットン、紡績はオープンエンド、編み立ては吊編み機にこだわり、フラットシーマなどの縫製技術を駆使したパーカやTシャツなどのワードローブを提案している。

 



■第56回全国ファッションデザインコンテスト
日本綿業振興会賞は、「千人針」への思いをこめた作品に

 第56回全国ファッションデザインコンテスト(一般財団法人ドレスメーカー服飾教育振興会・学校法人杉野学園主催)が開催され、応募総数1,733点の中から文部科学大臣賞をはじめ各賞が決定した。
 今回、日本綿業振興会賞に選ばれたのは、新潟県長岡市出身の田中夏芽さん(21歳、国際トータルファッション専門学校在学中)の「千人針」への思いをこめた作品。白いドレスに赤い玉をつくる素朴な感覚を、現代的に昇華し、シンプルで“今を感じる ”作品に仕上げた。「千人針」は、戦時中に千人の女性が白木綿の布に赤糸で一針ずつ縫って千個の縫い玉を作り、出征兵士の武運長久や弾丸よけを祈願して贈った一種の御守りだ。若い女性がなぜ関心を持ち、テーマにしたのかを尋ねると、その制作過程に興味があったのだという。
 「千人針は、ごく普通の人たちが身近な人を守るために針を持ち、もともとあった服に刺繍したもので、服の原点に立ち返るものだと思いました」
 もともと刺繍好きだった田中さんは、長岡で刺繍を学び、繊細なオートクチュール刺繍に惹かれて、シンデレラのようなウエディングドレスをつくっていた。しかし千人針に出会ったことをきっかけに、もっとリアルな服づくりを考えるようになり、今回の応募に至ったという。
 苦心したのは、「手作りの味を生かしつつ、どう表現するか」だった。天然素材が好きなこともあり、コットンメッシュ風の生地を用い、穴の隙間に赤い糸を通して編み物のような模様を浮き上がらせた。また袖の前振り部分の自然なボリューム感にもこだわったという。
 将来の夢は、ファッションデザイナーになること。「独立してブランドを持ちたい」と目を輝かせる。今後の活躍が期待される。

 



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