コットン特集
更新日2023/10/20


【2023 AUTUMN】

 アップサイクル特集

 繊維業界における廃棄物の削減や有効活用が課題とされる今、アップサイクルへの注目が急速に高まっています。
 今回の「アップサイクル特集」では企業が独自の強みや各所との連携を活用して取り組むアップサイクルについて紹介します。


クラボウ L∞PLUS(ループラス)

「L∞PLUS(ループラス)」を活用し
地方自治体や地域住民とアップサイクルを実施

 「L∞PLUS(ループラス)」とはクラボウが2017年から展開している独自の
アップサイクルシステム。回収した繊維製品およびその生産工程で発生する端材をクラボウ独自の開繊・反毛技術で再資源化し、様々な繊維製品へとアップサイクルするこの取り組みは、アパレル業界はもちろん、繊維産地や流通小売りなど賛同するパートナーを着実に増やしており、社会全体での取り組みへと広がっている。

地方自治体との「SDGs共創プロジェクト」を実施
 「SDGs共創プロジェクト」とは、地域から回収した繊維製品を「L∞PLUS」を活用して、再び地域で利用する繊維製品にアップサイクルさせることで地域社会における衣類の資源循環に貢献するプロジェクトだ。  
 2023年、クラボウは愛知県安城市と「SDGs共創プロジェクト」第一弾として、安城七夕まつり協賛会が実施した「安城七夕まつりTシャツ回収大作戦!」で回収した不要な衣類を再資源化。クラボウ安城工場で開繊・反毛しワタ状に戻したあと紡績し、安城七夕まつりのボランティアスタッフが使用するマフラータオルへのアップサイクルを行うことで持続可能なまちづくりを支援した。  
 クラボウは今後も安城市とのプロジェクトのように消費者を含めた地域社会との取り組みを推進し、「L∞PLUS」を活用した共創ビジネスとして推進することでサステナブルなものづくりや循環型社会の実現を目指す。
     
回収された不要な衣類 開繊・反毛・紡績 製品化

    

JR東日本グループの駅施設で服再生ステーションをオープン
 
オリジナル手ぬぐい
 JR東日本グループの株式会社JR中央線コミュニティデザインと、JR東日本スタートアップ株式会社は、株式会社オールユアーズ、クラボウと協業し、衣服の再利用や再資源化に取り組む「MAWASU STATION」第一弾の実証実験として、2022年7月~9月の期間に着なくなった衣服を回収。その一部を「L∞PLUS(ループラス)」を活用して再資源化し、蘇らせた糸を使って「MAWASU STATION オリジナル手ぬぐい」と「MAWASU STATION オリジナルハンカチ」を作り、2023年7月から、「MAWASU STATION」第二弾としてオンラインストアやJR中央線の一部の商業施設で販売した。同時にJR中央線、JR南武線の一部の駅改札及び商業施設にて、着なくなった衣服の回収も実施。回収した衣服を新しい繊維製品に変えて地域に戻す「地域循環型のモデル」を構築し、新しいものづくりのプラットフォーム化及び地域活性化を目指す。


 


   クラボウの取り組み・「L∞PLUS」についてのお問合せ:
      クラボウ 総務部 コーポレートコミュニケーション課(担当)野中
        TEL:06-6266-5053 FAX:06-6266-5555 E-mail:pr_grp@kurabo-grp.com
        クラボウ コーポレートサイト:https://www.kurabo.co.jp/
 


シキボウグループ 
彩生~saisei~

イベントを活用して消費者と楽しみながら取り組める
アップサイクルを実現

 裁断くずや残糸、落ちわた、C反などの繊維廃棄物を反毛機で開繊し、再び糸にして提供することで新たな価値を生み出す「彩生~saisei~」は、シキボウとシキボウグループの新内外綿が取り組むアップサイクルシステムだ。最近ではSDGsの実現に向け、環境配慮やサステナブルな取り組みへの関心が高まり、この数年で「彩生」はますます注目されるようになってきた。このアップサイクルの波を業界だけでなく一般消費者へも広めるべく「彩生」は音楽イベントと連携し、イベント関係者や来場者から中古のTシャツを集め、それを原料に各イベントオリジナルのTシャツへ再生するという企画に協力している。

回収後の“再生”が楽しみになる仕組みで、アップサイクル参加への意欲もアップ
 2023年8月に開かれた中四国最大級の野外ロックフェス「MONSTER baSH」で回収したTシャツは、カット・反毛を経て、綿(わた)に戻した後、バージン綿と混ぜ合わせて紡績し、翌年のイベントに使用するTシャツへとアップサイクルされる。イベントに参加するアーティストからもTシャツを回収するため、Tシャツの回収に参加した来場者の中には「自分が持参したTシャツが好きなアーティストのTシャツと一緒に新しく生まれ変わることが嬉しい」や、「どんなTシャツが出来上がるか楽しみ。来年も参加します」と語る人も多く、「回収ボックスに入れて終わり」というケースが多かった今までの取り組みから一歩前進し、アップサイクルに楽しみながら参加できる仕組みを作り上げている。

   

「音楽イベント×繊維アパレル業界」で持続可能な社会づくりに貢献
 9月に大阪城ホールで開催された「ロックロックこんにちは!」では、「大阪発、音楽イベント×繊維アパレル業界とのコラボレーション企画」として、大阪に本社を構えるシキボウとアパレルメーカーの平松工業、イベント主催のプラムチャウダーが連携し、「彩生」を活用したアップサイクルプロダクトを実施。参加アーティストや来場者からTシャツを回収後、オリジナル生地の製造などすべてを国内生産で製作する予定で、年内に受注生産を行い、2024年の6月頃発送を行う。

   
MONSTER baSHでは約800枚、ロックロックこんにちは!では約1300枚のTシャツを回収した。

   問い合わせ先: シキボウ株式会社 戦略素材企画推進室
             
TEL:(06)6268-5553 https://www.shikibo.co.jp
             



近藤紡績所 039LAUNDRY/DENIM MIXシリーズ

USEDデニムをアップサイクルし
新たな価値と未来を創出

 株式会社近藤紡績所が手がけるアパレルブランド「039LAUNDRY」は、“BE ORIGINAL”をコンセプトに、未来のヴィンテージウェアを目指したワンランク上の商品を展開しているブランドだ。次の世代の人たちが着てくれることを目標に、糸作りから徹底してこだわりを持って作り上げられた丈夫で長く着用することができる製品を通して、環境についてできることを考え、ファッションロスのない世の中へ向けたメッセージを発信し続けている。
 シリーズのひとつである「DENIM MIX」は、廃棄・焼却されてしまうはずだったUSEDデニムを回収し、手作業で細かくカットしていき、Tシャツに適したヴァージンのUSAコットンと混ぜ合わせたオリジナルのオープンエンド紡績糸を使用した人気のシリーズだ。青みがかった霜降りや、ところどころに現れるネップのようなデニムのかけらが一着ごとに異なる表情を醸し出し、一点もののような仕上がりとなるのも魅力となっている。
 従来の「再利用=リサイクル」とは異なり、紡績会社の強みを活かしたアップサイクル方法で、新たな魅力を生み出しているDENIM MIXシリーズ。Tシャツの相棒であるデニムが、新たな魅力を携えてTシャツやスウェットへと生まれ変わる…。この循環はファッションを楽しむ人はもちろん、地球環境に対しても明るい未来を創出するだろう。

   

   問い合わせ先: 株式会社近藤紡績所 LAUNDRY事業部
             TEL:(03)5779-8671
 https://039laundry.com