サスティナビリティとデジタル技術
今回PVパリとMUの双方が足並みを揃えるように打ち出したのが、サスティナビリティとデジタル技術の2大潮流である。
まずサスティナビリティでは、MUが「セーブ・ザ・プラネット(Save The Planet ―地球を救え」のメッセージを発信した。これを基にトレンドエリアには、初のサスティナブル素材に焦点を当てたエリアが開設され、このエリアを中心に、三つのテーマ、「水」、「空気」、「大地」のコーナーが設けられた。
PVパリも、トレンドの基調は「エコ」である。従来のファブリックのみのトレンドフォーラムに代わる、6つの業種すべてを網羅する「PVパースペクティブ」を新設し、エコを強力にまたわかりやすく提案した。またもう一つの「ファブリック・セレクション―エッセンシャルズ」も「エコポイント」を設置し、環境に配慮したクリエーションを後押しした。
メインヴィジュアルは青空が広がる爽やかな大草原で、その上に砂漠のオアシスがコラージュされる。天空から一人の人物が砂漠に水を降り注いでいるシュールな画像である。人間は自然環境に責任があることを認識すべきと訴えかけているようである。
キーカラーは穏やかで心地よいニュアンスのグリーン。このグリーンは随所に満ちあふれ、エコの気運を盛り上げていた。
次にデジタル技術では、PVパリの二つの取り組みが注目される。一つはファッション・テックで、昨年2月にローンチした「ウェアラブル・ラブ」の規模を拡大して前面に訴求した。フランスのオートクチュール連盟と協業するなど、ファッション業界の将来にとって重要な戦略と考えているという。もう一つはB to B(企業間取引)のデジタルプラットフォーム「マーケットプレイス」で、今年7月に始動、9月展で本格スタートの予定となっている。中長期的目標として出展社数1,500社、商品数100,000点、バイヤー25万人を目指す。
MU も、デジタル技術は未来と向き合う姿勢に進化を促す刺激になるとして、積極的に推進している。現在、昨年発表したサイト「MU365」を構築中で、今年末には立ち上がる見込みという。