【2024 AUTUMN】
マイクロ波で綿/ポリエステル混紡繊維を速やかに分別し 資源循環・環境負荷低減の推進に大きく貢献 ファストファッションの普及により、大量生産・大量消費・大量廃棄のビジネスモデルが広がり、繊維アパレル産業が環境に与える負荷が一層深刻化している。最近では環境意識の高まりからリユース市場が拡大しているが、衣料品のリサイクル率は全体の1/3程度に留まっており、残りは焼却などで廃棄されている。そのため、使用済み衣料品を原料とする繊維to繊維リサイクルを推進して、廃棄量や原材料調達・廃棄で発生するCO2排出量を削減し、環境負荷を低減することが繊維アパレル産業における喫緊の課題となっている。 こうした状況の中、大阪大学の宇山浩教授は、昨年末にシンガポール在住の友人から、繊維to繊維リサイクルの推進の必要性を聞き、混紡繊維がリサイクルの課題となっていることを知ることとなった。特に、衣料品の約半分を占める綿とポリエステルの混紡繊維は従来の技術では素材の分別が難しく、そのほとんどが廃棄されているのが現状だ。そこで、宇山教授の研究チームは、過去に実施した発泡ウレタンの分解実験から得たヒントを基に、電子レンジの加熱と同じ原理であるマイクロ波を活用した技術を開発。混紡繊維と触媒を溶媒となるエチレングリコールに投入し、マイクロ波照射装置で数分間加熱することで、綿とポリエステルの効率的な分別を実現した。 この技術を使用すれば、ポリエステルのみがエチレングリコールに溶解し、綿は繊維のまま反応液中に残るため、綿はマテリアルリサイクルとして再利用され、ポリエステルはケミカルリサイクルによってPET(ポリエチレンテレフタレート)の前駆体であるBHET(ビスヒドロキシエチルテレフタレート)として高純度で回収される。現時点での回収率は、綿は90%以上、ポリエステルは約70%であるが、現在、さらに回収率を向上させるための技術開発が進められている。また、撥水等の加工や染色による分別への影響の検証や他の混紡繊維への応用、アパレル企業等との連携による装置の製作を含めたプロセスの開発など、繊維to繊維リサイクルの促進に向けた研究が進められており、今後の技術の進展が期待される。
参考URL: 宇山研究室HP https://rd.iai.osaka-u.ac.jp/ja/e9c5e0cc2c83e080.html コットン100%スパンレース不織布「コットエース®」が海洋生分解の国際認証を取得 ユニチカ(本社:大阪市中央区)が展開するコットン100%のスパンレース不織布「コットエ ース」が、TÜV AUSTRIA BELGIUM社による海洋生分解性を証明する国際認証「OK 問い合わせ先: ユニチカ株式会社 不織布事業部 スパンレース営業部 電話:06-6281-5863 https://www.unitika.co.jp/ |