COTTON TOPICSバックナンバー

【2013 SUMMER】



シキボウ、ダイワボウノイが「SEK防汚加工マーク」対応商品を発売

 近年、スポーツウエアやユニフォーム分野などで防汚加工の需要が高まっている。加工技術としては以前からあるが、公的機関による統一規格基準がないのが現状だった。
 昨秋、機能加工繊維製品の性能を証明する「SEKマーク」の実施団体・一般社団法人繊維評価技術協議会(繊技協)が、「SEK防汚加工マーク」認定制度を新設した。
 このほどシキボウとダイワボウノイが相次いで新マークを取得し、対応商品の販売をスタートさせた。

シキボウ

綿の肌触りにこだわった防汚加工素材「ソイルフリー®」


 シキボウでは、これまで皮脂などの汚れ対策素材「デセール®」や、ついた汚れが落ちやすい「イージクリン®」の販売など、幅広い効果を兼ね備えた防汚加工ブランドを打ち出してきた。
 今回の新登場した「ソイルフリー®」は、長年蓄積したノウハウを生かし「SEK防汚加工マーク」対応商品として誕生した。公的基準を重視する客層はもちろん、公的機関の承認で商品への信頼性が高まった。
 新ブランドには、3つのタイプがラインナップした。汚れが落ちやすい加工「ソイルフリー® R」と反対に汚れが付きにくい加工の「ソイルフリー® G」。さらに最近承認がおりた「ソイルフリー® W」は、“汚れが落ちやすくつきにくい”という両方の効果を兼ね備えたタイプとなる。全タイプが、マーク基準の「粗い紛体汚れ」、「水性汚れ」、「油性汚れ」に個々に対応している。
 開発技術部部長の辻本裕氏によると、開発にあたって苦労したのは、素材によって結果が大きく左右されるため、組成や毛羽立ち、糸の撚りを厳選してものづくりを考えなければならないことだった。全工程の管理がきちんとできるからこそできたとのことだ。
 さらに「コットンは、快適性は抜群だが汚れが付きやすく、落ちにくい面があります。それを加工で補うことで、一層コットンを快適に着用できるようになると思います」と辻本氏。
 まずは医療・介護関係でのワーキングユニフォームや学販シャツ地などで普及を進め、今後は寝具、インテリア、副資材系など範囲を広げていく。


 

   問い合わせ先: シキボウ株式会社 戦略素材企画推進室 電話:06-6268-5553
              http://www.shikibo.co.jp/

      

ダイワボウノイ

皮脂汚れ防止機能を持つ綿100%素材「エコリリースW®」「ミラクルリリースW®」


 「SEK防汚加工マーク」認定第1号を取得したのは、ダイワボウノイの皮脂汚れリリース機能を持つ綿100%素材「エコリリースW®」と綿混素材「ミラクルリリースW ®」。汚れを落ちやすくする機能が特長で、従来から好評の「エコリリース®」の進化版となる。
 「エコリリースW®」は、独自の改質技術によって、綿の水との親和性を最大限に発揮させることで、高い汚れ落ち度を実現させた新タイプの加工だ。水につけるとすばやく水分を吸収し、皮脂などの油汚れを繊維が自らの力でリリースする。洗剤使用量削減にもつながるエコな加工で、黄ばみや黒ずみ、食品汚れなどの一般汚れを抑制し、白さを維持する。
 同社では、綿の魅力を打ち出す新たな素材としてシリーズ化し、推進する「エコフレンド活動」の中核ブランドのひとつとして売り出したいとしている。
 主にインナーや布団カバーなどの寝装、Tシャツ、ドレスシャツ用途で販売予定。展示会以降、学販ユニフォーム分野などからも引き合いがあるなど、注目度は高い。今後は、雑貨やインテリア関連などにも展開範囲を拡大したいと期待が高まる。

 

   問い合わせ先: ダイワボウノイ株式会社 電話:06-6281-2406
              http://www.daiwabo.co.jp




クラボウ

抗ウイルス機能繊維加工技術「CLEANSE®/クレンゼ®」
19種類の微生物に対する効果確認


 クラボウの抗ウイルス機能繊維加工技術「CLEANSE®/クレンゼ®」が、また進化を遂げた。今までは主にインフルエンザウイルスを対象としていたが、このほど新たにインフルエンザ以外のウイルスや細菌,真菌に対する効果が確認された。これを機に一気に用途の幅が広まり、今後は必要とする微生物の種類を選択できる「CLEANSE®/クレンゼ®」シリーズとして、新たなラインアップが構成される。
 「CLEANSE®/クレンゼ®」は、広島大学大学院医歯薬保健学研究院の二川浩樹教授が開発した、ウイルスを不活化する固定化抗菌成分「Etak®(イータック)」を活用し、2009年にクラボウ技術構築した抗ウイルス機能繊維加工技術。口腔内の治療や洗浄時に使われている消毒薬をベースにした化合物からできているため、高い安全性が実証されている。発売以来、生活全般のさまざまなジャンルで商品展開され、好評を得ている。
 クラボウでは、昨今世界中で高まるウイルスや細菌など各種微生物による感染脅威を背景に、加工方法や薬剤処方の改良を繰り返してきた。今回確認された効果は、ウイルス、細菌、真菌の3つの分野の微生物に対するもの。ウイルスでは、ノロウイルスやアデノウイルスなど4種。細菌は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)や大腸菌(O-157)、部屋干し原因菌のモラクセラ菌、サルモネラ菌など10種。真菌(かび類)では、黒かび、マラセチアなど3種に対しても効果が認められた。
 さらに抗菌薬剤に対する抵抗性が高く、開発が難しいとされる緑膿菌と多剤耐性緑膿菌(MDRP)に対しても、「クレンゼ®」の技術を応用した加工技術によって効果が確認され、技術名称を「STEADY®」(ステディ)として別ブランドで展開する。
 「クレンゼ®」は、SEKマーク(一般用途・特定用途)対象菌種の基準をクリアしている。これにより、SEKマーク表示を目的とした加工を行うことも可能だ。
 今後は効果対象の拡大に伴って、ますます広範囲での展開が予想される。これまでのユニフォームや学生衣料をはじめ病院やホテル、オフィスなどの施設関係や衣料品、ベビー用品、カーテンや壁紙、タイルカーペットなどのリビング&インテリア製品、寝装・寝具など生活空間全体をカバーした幅広い利用にも期待が高まっている。


 

   問い合わせ先: クラボウ 繊維事業部 電話:06-6266-5303
              http://www.kurabo.co.jp/cotton/





「肌にあう、が見つかる。」ファクトリーショップ「スムースデイ」

 「肌にあう、が見つかる。」をコンセプトにしたファクトリーショップ「スムースデイ(smoothday)」が、昨秋表参道エリアにオープンして以来、人気を集めている。
 商品はすべてカットソーで、シンプルなTシャツやスエットシャツ、ジャケットなどからインテリア小物まで、生活全般に及ぶ。注目されるのは素材で、さらさらと気持ちのいい肌触りの綿100%。これは小野莫大小工業社長の小野元延氏が開発した“コズモラマ”と呼ばれる、薄くて軽い、落ち感があって、しかもまとわりつかない、超細番手で細ゲージの綿ジャージー。
 小野社長は1998年頃から、薄い生地がくっついて見栄えが悪いのを解決しようと、単糸づくりに着手。その原点は、趣味の仏像鑑賞にあるという。像に刻まれるドレープのような肌触りのいい極上のコットンを仏様に着せてあげたいと思うようになったことがきっかけとか。
 希少なコンパクトヤーンの紡績機械を導入し、試行錯誤を繰り返して3年後、ガス焼き工程の順番を間違えるという思わぬ偶然から、くっつかない、画期的な綿ジャージーが誕生。2003年、“コズモラマ”を完成させ、2004年にパリのプルミエールヴィジョンに出展。高い評価を得て、欧米の一流ブランドとの取引が始まった。
 当時サンローラン社に勤務していたデザイナーの杉原淳史さんは、この生地に感動し、帰国後同社を訪問。とんとん拍子に、「スムースデイ」のクリエイティブディレクターに就任。いわゆるトレンドを追わず、シルエットと素材で勝負するシンプルなデザインで、「文化として残るものをつくっていきたい」と話す。
 「スムースデイ」は、日本のものづくり技術とデザイナーのセンスが見事にマッチングしたブランドの好例。モードの中心、パリへの出店も考慮中とのことで、夢の実現が楽しみだ。


 

   問い合わせ先: スムースデイ 電話: 03-6434-5910
              http://smoothday.jp/