COTTON TOPICSパックナンバー
【2024 SUMMER】
 綿と異色の植物繊維を混紡したバイオマス素材を強化 シキボウグループの新内外綿（大阪市中央区）は、環境に優しい素材の開発と提供に積極的に取り組んでおり、竹、葦（ヨシ）、ヘンプ、パイナップルといった植物繊維と綿を混紡した商材の充実に力を注いでいる。この取り組みは廃棄物の削減や環境保全に貢献し、持続可能な社会の実現につながると注目を集めている。  「TAKEITO」「YOSHIITO」「自然環境を守る」という観点で天然資源を活用し、 相性の良い綿との混紡で、 多彩な機能性を発揮  竹は成長が非常に早く、繁殖力も強いため、河川敷や放置された山地などで育てることができ、他の植生を侵すことなく原材料を調達できる。新内外綿はこの持続可能な天然資源である竹に着目し、竹を割って裂き、天然の繊維質を利用する開繊方式を採用。綿と混紡することで、竹の持つ清涼感や抗菌作用と着心地の良さを併せ持つ「TAKEITO」を開発した。2015年から販売を開始し、吸水性に優れた爽やかな素材としてアロハシャツなどに利用されている。また、新内外綿は葦の活用と保護に取り組むアトリエMay（枚方市）と協力し、淀川水系に自生する国産の葦と綿を混紡した環境にやさしいバイオマス素材「YOSHIITO」を開発した。葦は天然の抗菌性が期待できる自然由来の機能素材。昔は「葦簀（よしず）」や「茅葺き（かやぶき）屋根」の材料として利用されていたが、近年需要が減ったことで放置による環境への影響が問題視されていた。そんな葦を有効活用することは、地球温暖化防止や水質浄化、生態系の保全など多くのメリットにつながっている。こちらも天然素材同士で相性の良い綿と混紡し、綿の良さに葦が本来持つ機能性をプラスした素材として注目を集めている。  「HEMPシリーズ」「パイナップルヤーン」綿と混紡することで廃棄される部分の有効活用が可能に 「HEMPシリーズ」「パイナップルヤーン」は、これまで廃棄されていた部分を原料としたバイオマス素材だ。 「HEMPシリーズ」は葉が医薬用原料として使用されるヘンプの茎の部分を原材料として利用。綿と混紡することで、しなやかな風合いと清涼感のある肌触りを両立している。  さらに、新内外綿は東南アジアで生産されたパイナップルの葉脈を原料とした「パイナップルヤーン」も開発。パイナップルヤーンは綿70％・パイナップル30％の混紡糸。パイナップルの葉の繊維に特殊な処理を施すことで、柔らかい繊維への改善に成功し、やさしい肌触りでありながら、麻に似た質感と吸放湿性を併せ持つ。今後は春夏向け素材としての商品化を進め、2025年の春夏シーズンでの本格的な提案を予定している。これらの植物繊維を利用した商品は、環境に優しいだけでなく、機能性にも優れており、持続可能な社会を支える一助となっている。新内外綿は今後もバナナの茎など新たな植物繊維の開発を進める予定。今後も培ってきた技術とノウハウを活かし、未利用の植物繊維を綿と混紡することで新たな価値の創出を目指す。 問い合わせ先： 新内外綿株式会社 開発・マーケティング部 電話：06-4705-3789 https://www.shinnaigai-tex.co.jp  ストレッチ性の高い綿素材とボタンへの工夫で片手でもスムーズな着脱を実現 「楽勝ボタン 前あきストレッチシャツ」 高齢化が進む日本社会で、日常生活の課題が浮き彫りになっている。その一つが、高齢者や身体に不調を抱える人々の衣服の着脱の難しさだ。この問題を解決するため、Three Rivers（大阪市北区）が開発したのが「楽勝ボタン 前あきストレッチシャツ」だ。 デザインは高齢者が好むポロシャツをベースにし、着脱しやすい前あきを採用。腕を通しやすいようラグランスリーブにし、肘が曲がったままでも着脱できるようアームホールにゆとりを持たせた。生地にはストレッチ性と肌への優しさを重視し、綿95％ポリウレタン5％の綿混素材を使用。ボタンはつまみやすいよう大きくし、ボタンホールも大きめ。さらに、ボタンはゴムで取り付けられており90度に傾けることができるため、片手でも留め外しがしやすい設計となっている。  カラー展開も豊富で、長袖は秋冬向けの落ち着いた色4色、半袖は春夏向けの明るい色5色を揃えている。受注があれば他のカラーにも対応可能だ。 2021年には、ユニヴァーサルデザイン（UD）社会の実現に向けての活動を行なう団体・個人を表彰する「IAUD国際デザイン賞」の銅賞を受賞。ユニバーサルファッション協会推奨製品にも選出され、2022年には「大阪製ブランド」にも認定されている。
「今後も、より多くの人々が衣服を楽しめるようにストレスを取り除いた商品開発を進めたい」と語る仲村代表。新商品では就労継続支援B型を活用したモノづくりを進めたいと考えており、SDGsのゴール3「すべての人に健康と福祉を」の実現も目指している。 問い合わせ先： Three Rivers（スリーリバース） 電話：050-3718-2810 E-mail：info@rrrivers.com |